ボヘミアンラプソディ
愛する
かけがえのない
ユニークなあなたへ
映画は好きなのだが、この数年あまり観に行かなくなった。
いつの間にか、そういうゆとりをなくしていた。
今年観た唯一の映画が、「ボヘミアンラプソディ」だった。
僕がゲイだということを知っている何人かの知人が、勧めてくれた。
クイーンにもフレディ・マーキュリーにも興味はなかったし、恥ずかしながら、彼らのことは名前ぐらいしか知らなかった。
だが、映画を見ていて、懐かしくなった。
彼らの音楽の何曲かは、どこかで耳にした覚えがある。
テレビのコマーシャルソングに使われた曲もあるしね。
そして、フレディの歌声は、本当に美しいと思った。
フレディのセクシュアリティについての描写も興味深かった。
彼は、女性と男性のいずれも性的興味や恋愛感情の対象としていたので 、バイセクシャルだったのだと思う(どちらかと言うと男性の方が好きだったのかもしれないけど)。
僕は男性にしか興味のないゲイなので、ともにセクシャルマイノリティといっても、違うカテゴリーに属している。
ただ、男が好きという点は共通しているし、それ故に彼が感じたであろう葛藤と苦悩は、僕にも理解できる。
彼は生前、自分のセクシュアリティをオープンにすることはなかった。
そして、そのことを批判する声もあるという。
ただ、僕は「そうは言ってもね」と思う。
僕もゲイであることを隠してきたし、今も完全にオープンにしてるわけではないから。
彼が、1991年にエイズの合併症で亡くなったということを知って、あの頃の記憶がよみがえった。
僕もあの時代を生きた。
エイズに怯えながら。
今はエイズの発症を抑える薬が開発されている。
HIVウィルスに感染しても、薬を飲み、適切な健康管理を行えば、天寿を全うすることは不可能ではない。
だが、当時はそうではなかった。
HIVウィルスに感染することは、不治の病に侵されたということを意味した。
エイズの検査を受けて、その結果を聞きに行くことが、本当に怖かった。
フレディが、検査結果が陽性だと伝えられたときのショックを想像することができる。
僕は幸運なことに陰性だった。
そして、僕は今も生きている。
この1年を無事に過ごし、新しい年を迎えようとしている。
これを当たり前のことと言ってしまうこともできる。
しかし、当たり前のことこそが、ありがたく、幸せなことなのだと改めて思う。
もうすぐ年が明ける。
最近は暇になった。
来年はもっと、映画や芝居を観たいと思う。
良い年をお迎えください。
あなたが
いつもあなたらしく
幸せであることを祈っています