どんな天気の日も…takechanの書きたいときに書く日記

大阪市阿倍野区在住の暇な趣味人です。好きなことは、木漏れ陽の下で爽やかな風に吹かれること、夕陽を眺めること、美しいものにふれること、そしてなんと言っても、食べることと飲むこと。お酒はビール、ワイン、日本酒などの醸造酒が好きです

小さなイタリア料理店で

愛する

かけがえのない

ユニークなあなたへ

 

少し前に、最近行くようになった小さなイタリアンの店で遅めの夕食をとったときのこと。

 

この店に行くと、いつも2000円のセットを注文する。

飲み物を3杯、タパス(小皿料理)を2品頼むことができる。

この日もそれを注文した。

 

3杯目のワインに口をつけようとしたとき、心の中でこんな声が響いた。

「辛かったよね」

そう、ずっと辛かった。

という思いとともに、頭の中に「自己憐憫」という言葉が思い浮かんだ。

そうかもしれない。

そう思われても良い。

僕も自分が、そんなに不幸な境遇を生きてきたわけではないと思っている。

人と比べると、どちらかと言えば恵まれた境遇を生きてきたと思う。

それでも、ずっと辛かった。

生きづらさを感じてきた。

 

僕の父は、決して悪い人ではなかった。

ただ、気難しくて、情緒が不安定なところがあった。

子供時代、いつ怒り出すか、怒鳴り出すか分からない父が、本当に怖かった。

思春期になると、父のことを忌み嫌い、避けるようになった。

父が、理不尽な怒りをぶつけるたびに、憎んだ。

殺してやりたい、そう思ったことも何度かあった。

でも、僕にもずっともわかっていた。

父が、父のなりに僕のことを愛していることを…

 

幼稚園や学校は嫌いだった。

ずっと通い続けたけど。

団体生活とか集団行動って苦手なんだ。

 

内向的な性格にも悩み続けた。

  人と器用に付き合えない。

何度も変えようとしたけど、変わることはなかった。

 

世間話が苦手だ。

沈黙が長く続くと、一緒にいる人に、居心地の悪い思いをさせているのではないか、退屈させているのではないかと思って、申し訳ない気持ちになる。

何か話さなくてはと思うが、何も思い付かない。

 

ゲイであることをずっと隠してきた。

差別されるのが怖かった。

なんとなく後ろめたさを感じてきた。

 

大嫌いな仕事も、30年近く続けた…

 

こんな思いがよぎっていくと、

もうダメだ。

涙があふれ出し、頬をつたっていく。

 

小さな店のカウンター席で、赤ワインをすすりながら、僕は涙を流し続けた。

 

店のマスターは、気づかないふりをしてくれた。

優しい人だ。

 

しばらく涙を流し続けると、胸が温かなもので満たされた。

思えば、長い間涙を流していなかった。

僕、泣きたかったんだね。

 

あなたはいつ涙を流しましたか。

 

あなたが

いつもあなたらしく

幸せであることを祈っています